クングスレーデン: 装備編
クングスレーデンの装備について解説します。持って行って良かったモノと、不要だったモノと。
防寒具
日本では夏の真っ盛りでも、クングスレーデンでは明け方は0~5℃になります。私は冬用の-15℃用のダウンシュラフを持って行き、寒さを感じることはほとんどありませんでした。
夕方から朝方にかけて雨が降ることが多く、テントの中が濡れやすいです。シュラフカバーがある方がよいでしょう。
衣類は、冬用のアンダーウェア上下も使いました。雨の日の朝方など、歩き始めて身体が温まるまでは、アンダーウェア上下を着こんでいました。
日中も、雨風が強い時は、薄手の手袋をして歩きました。
また、テント場で夕方景色を眺めている際は、フリースの上に薄手のダウンを着て過ごしました。
総じて、冬山装備に近い、その一歩手前の装備があると暖かいと思います。
地図
Norsteds社の1:75,000図を使用しました。縮尺は1:100,000図より大きく、コースタイムも記され、折り曲げや水にも強く、使いやすかったです。1枚150SEK(1800円)。北部は、Blad 1 Abisoko – Kebnekaise – Nikkaluoktaがカバーしています。
AbiskoからNikkaluokta間にとどまらず、南へクングスレーデンの全長を歩く人は、Blad 1からBlad6の6枚購入することになります。
Calazo社からは、クングスレーデンの全長450kmをカバーした冊子もでています。こちらは1冊3000円前後で、6枚購入するよりだいぶ割安にはなります。アウトドアショップでもこの冊子が多数置いてありました。ただし、トレイルの近傍しか載っていず、地形の一覧性は通常の地図の方が優れていると感じました。
地図やガイドブックの購入は、ストックホルムのKartbutikenがおすすめです。各社の地図が揃い、広い台の上で見比べられます。場所は中央駅から近い繁華街Samuelsgatan通り。近くにはアウトドアショップもあり、ガスカートリッジの購入も済ませられます。
ガイドブック
上記の書店に、英語で書かれたクングスレーデンのガイドブック、Fredrik Neregard著、Best Hiking in Sweden: Kungsledenがあります。295SEK (3500円)。
AbiskoからNikkaluoktaに抜ける北部の110kmのルートと、南方の中間地点Kvikjokkまでをカバーしています。(南北全長450kmを歩く人にとっては、Kvikjokkから南端のHemavanまでの半分はカバーしていません)
一日歩くコースの概観が分かり、テント適地や分岐の簡単な記載もあります。無くても旅はできるかもしれませんが、情報が限られている中、私は購入して良かったと感じています。
なお一点、情報に相違があります。2016年の出版ですが、2020年現在、Tjaktja小屋に売店はありません。Abisko~Nikkaluokta間で、TjaktjaとSingiには売店はありません。
またAmazonでは、Mike Laing著のTrekking the Kungsledenもあります。Google Booksで中身を見ると、こちらの書籍の方が専門的かもしれません。
北部は浄水フィルターは無くても大丈夫そう
クングスレーデンのトレイル沿いは、どこでも小川が流れています。山小屋やハイカーに水について尋ねると、皆一様にどの水も飲める、と言います。
実際に、トレイルランナーは小川の水を手ですくって直接飲んでいました。山小屋の方は、500mlのボトルに汲んでおけば大丈夫だ、と言っていました。ある年輩のハイカーは、200mlしか水を運んでいませんでした。
注意点として、流れている水に限ります。上流に小屋のある本沢よりも、支沢の方がよいでしょう。水を汲む際は、トレイルやテント場の下流ではなく、上流にします。逆に食器の洗浄、衣類の洗濯、水浴びの際は、水場の下流側にします。山小屋付近に泊まる際は、山小屋の人に聞くと、どこで水を汲み、どこで洗うべきか教えてくれます。
私は、念のため浄水フィルターのSawyer Microを持って行きました。日本のアウトドアショップで主流のKatadyn Be Freeと比べると、ボトルの耐久性に安心感があります。また、プラティパスの水筒に接続できるので、プラティパスで水を汲んでおき、必要な際にフィルターをつなぎかえることで飲めます。2~3日使っていると、フィルターの通りが悪くなってくるので、逆洗浄用の付属アダプターは忘れずに。
水の量は、私は歩行のペースを保ちたかったので、1日1Lの水を運んでいました。テント場では、夕食と翌日分と4Lの水を汲んでいます。
なおクングスレーデンの全長を歩く人は、浄水フィルターを持って行く方がよさそうです。南部の第5ステージAmmarnas~Hemavan間では、水の問題が報告されたことがあるそうです。
ソーラーパネル
トレイル中に充電できるところはほとんどありません。スタートとゴールのAbisokoとNikkaluokutaの他は、Kebnekaiseのマウンテンステーションに200V電源とWiFiがあるくらいです。
私はカメラとして使う携帯電話のために、ソーラーパネルを持って行きました。ただし、7月中旬では、1週間のうち晴れの午後は1日のみで、最終日はバッテリー切れとなりました。
ソーラーパネルの代わりに、バッテリーパックを持って行くことも選択肢の一つになるかと思います。
クングスレーデンの全長450kmを南のHemavan方向まで歩く人は、ソーラーパネルの方が向いていそうです。
また山小屋の売店の中でも幾つかの大きい売店では、乾電池を売っています。
トイレ穴掘り用スコップ
クングスレーデンは、どこでテントを張っても自由です。Abiskojaureを3kmほど過ぎる辺りまでの国立公園内のみ禁止。トイレのある山小屋付近でテントを張らない日は、そこらの岩陰でトイレを済ますことになります。
- 穴を掘る。
- 用を足す。
- トイレットペーパーを燃やす。
- 穴を埋め戻す。
ペーパーが残っていると、後から来る人に残念な思いをさせてしまいます。クングスレーデンは湿気があり、トイレットペーパーを燃やしても山火事にはなりません。
ダクトテープ
2日目の晩にテントのシームが劣化し、雨漏りするようになりました。ダクトテープを内側から貼って、なんとかしのげました。
ポケッタブルバッグ
街でガスカートリッジ・地図・食料を買いそろえる際や、テント場から水場まで4Lの水を汲みに行く際などに活躍しました。
おすすめ: Solo-Tourist ポケットデイパック 1400円
その他、持っていて良かったモノ
トイレットペーパー、ガスカートリッジ
新品を持って行きましたが、念のため後半に山小屋で追加購入しました。トイレットペーパーは中規模の売店から、ガスカートリッジは小規模の売店から扱っています。
参考: 売店の取り扱い品目
トレッキングポール
クングスレーデンは傾斜が緩く、比較的フラットなトレイルを歩きます。トレッキングポールを活用しやすいでしょう。
行動食
山小屋でどんな食料が売っているか分かりにくかったため、念のため、日本から2日分のラーメンと、数日分の行動食を持って行きました。トレッキングの最終日、疲労が表に現れたのか、ビスケットやナッツを噛む力も出てきません。そんな時、日本から持って行ったレーズンと、現地で購入したチョコレートが活躍しました。
なお東のNikkaluokta側から歩き始める人は、最初の2日間の食料は若干注意が必要かもしれません。1泊目のKebnekaiseの売店は、安価なラーメンを売っていません。パスタの量り売り、小さなパン、1000円前後するフリーズドライなどはあります。次のSingiにも売店がないので、安価に済ませたい方は、日本からラーメンなどを2日分持って行くとよいでしょう。
コンセント変換アダプター
スウェーデンの電源コンセントは、ヨーロッパで一般的なC型です。Kebnekaiseのコンセントは混雑しており、USBハブが有ってもよいかもしれません。
爪切り、化膿止め、バンドエイド
1週間の間に、爪の脇が複数個所割れて化膿しました。小物をもっていることでしっかり対応できました。
アイマスク
北極圏の夏の夜は、昼間同様に明るいです。私自身は使いませんでしたが、明るいところでは眠れない方は、アイマスクがあるとよいでしょう。
あっても無くてもよいモノ
サンダル
私の歩いた7月中旬は、トレッキングにサンダルは無くても大丈夫でした。川を渡るところが何回かありますが、岩伝いに足を進めることで、靴の中まで濡れることは1回しかありませんでした。雪解け水の多い6月には、サンダルがある方が良いのかもしれません。
ただしトレッキングの終わりには、靴を脱ぐと靴下と靴がもの凄いニオイを発します。ホテルの個室に2泊して、靴下を洗濯し、靴を乾燥させ、移動中は靴を脱がないようにしていました。
トレッキング完了後にドミトリーに泊まってホテル代を節約したい方は、サンダルを持って行くとよいでしょう。
石けん、洗濯ばさみ、物干しロープ
1週間の間に晴れた午後が1日あり、1回洗濯しました。下着、Tシャツ、靴下は3セット持っており、1セットで3~4日間着続ければ、途中で敢えて洗濯しなくても大丈夫とも言えます。
短パン
2020年シーズンは、コロナウイルス対策として山小屋のサウナが閉鎖されており、短パンを水着として使う機会はありませんでした。1週間風呂無しで歩きましたが、ズボンを脱ぐと股間から香しいニオイが立ち上ります。サウナが再開した際には、水着を持って行くと活躍するでしょう。
山小屋泊まりのスウェーデン人の中には、小雨の降る中、水着になって川で水浴びしている人たちもいました。テント泊の自分はちょっと真似する気にはなりませんでしたが、凍えそうに身を縮めながら、表情は楽しそうでした。
山小屋の人にハイカー達は皆どうしているのかと聞くと、そのまま1週間歩く、と言っていました。
無くてもよいモノ
ヘッドランプ
7月中旬は、白夜で一晩中暗くなることはありませんでした。なお秋になると、19時頃にはかなり暗くなるそうです。
テント用ペグ
クングスレーデンには、どこにでも手ごろな岩が転がっています。テントの張り綱を岩で固定できる人は、ペグは持っていなくても大丈夫です。多少風は吹くので、張り綱は張った方がよいでしょう。
三脚
7月中旬は白夜で、オーロラは現れません。自撮りすることもなく、三脚は途中で置いていきました。
クングスレーデンのまとめ情報はこちら。
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